先日、仕事用のメールアドレスに一通のメールが届いた。
件名は忘れてしまったが、内容はこうだった。
「アメリカン・エキスプレス センチュリオンカードへのアップグレードのご案内」
なるほど。
ついに来たか。
世界最高峰とも言われるブラックカードへの招待である。
もっとも、私はその瞬間に笑ってしまった。
なぜなら今の私は、
アップグレードの元になるアメリカン・エキスプレスのプロパーカードを持っていない。
アップグレードも何もないのだ。
二階建ての家を持っていない人間に、
「三階部分を増築できます」
と言われているようなものだ。
若い頃なら、少し心が動いたかもしれない
とはいえ、正直に言う。
20年前の私なら、少しだけドキドキしたかもしれない。
センチュリオン。
ブラックカード。
招待制。
限られた人だけが持てるカード。
そんな言葉には、不思議な力があった。
ブラックカードが欲しかった時代
昔は、カードそのものに憧れていた。
ブラックカードを持つ人。
ファーストクラスに乗る人。
高級ホテルのスイートに泊まる人。
そういう人たちを見て、
「いつか自分も」
と思っていた。
それは決して悪いことではない。
向上心だったのだと思う。
しかし、年齢とともに興味は変わる
ところが不思議なもので、年齢を重ねると興味の対象が変わる。
今の私が気になるのは、センチュリオンを持っているかどうかではない。
その人が、
- なぜそのカードを持っているのか
- どんな時間を過ごしているのか
- どんな判断をしているのか
の方だ。
本当に価値があるもの
本当に価値があるものは、案外目立たない。
カードもそうだ。
時計もそうだ。
クルマもそうだ。
それらは人生を豊かにすることはあっても、人生そのものにはなれない。
詐欺師が狙うもの
今回のメールは明らかな詐欺だった。
だが少し考えさせられた。
詐欺師は、
「ブラックカードを持っている人」
を狙っているのではない。
「ブラックカードが欲しい人」
を狙っているのだ。
その違いは意外と大きい。
欲望は時に、人を盲目にする。
だからこそ、冷静さが必要になる。
結論として
センチュリオンの招待メールは削除した。
もちろん迷いもなく。
そもそも私は、アップグレード元のカードすら持っていないのだから。。。。
けれど、そのメールのおかげで一つ気づいたことがある。
昔の私は、ブラックカードに興味があった。
今の私は、ブラックカードを持つ人の人生に興味がある。
そして本当に面白いのは、カードそのものではなく、その人がどんな時間を積み重ねてきたのかということだ。
そう考えるようになった自分に、少しだけ年齢を感じた。


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