ホテルBarでカードを出した瞬間に、すべてが変わった話

VISA INFINITE

 

 

――それでも私は、その店を選ばなかった

 

私は、昼間の静かなホテルBarが好きだ。

夜の華やかさではなく、昼の余裕がある空間がいい。

 

ある平日の昼、大阪の老舗ホテルのBarを訪れた。

そのホテルで行われる講演まで、少し時間が空いていた。

 

大阪でも、昼から営業しているホテルBarは多くない。

だからこそ、期待もしていた。

 


昼間のホテルBarでの、短い違和感

 

広い店内には、テーブル席に数人の客がいるだけだった。

私は、客のいない長いカウンターの奥に案内された。

 

カクテルを一杯。

そして、もう一杯ビールを。

 

昼間のアルコールは、確かに効く。

 

ほろ酔いになった私は、

手持ち無沙汰そうにグラスを並べているバーテンダーに、何気なく声をかけた。

「昼間のアルコールは効きますね」

 

返ってきたのは、短く、冷たい言葉だった。

「……そりゃ、そうでしょうね」

 

ああ、そういう距離感か・・・・。

私はそれ以上、話しかけなかった。

 


「常連ではない」という立場

 

その店には、年に数度行く程度。

もちろん、私は常連ではない。

 

だから、特別扱いを期待していたわけでもない。

ただ、少しだけ居心地が悪かった。

 

とはいえ、昼間の酒で気分を害すほど、こちらも若くはない。

講演資料に目を通しながら、静かに時間を過ごした。

 


カードを出した瞬間に、空気が変わった

 

30分ほどで素早く2杯を飲み終え、私はチェックをお願いした。

 

差し出したVISA Infiniteカードを見た瞬間、バーテンダーの表情が、はっきりと変わった。

 

声のトーンが変わり、言葉が増え、さきほどまでなかった笑顔が浮かんだ。

「ありがとうございました」

「……(何か一言)」

さっきまでとは、別人のようだった。

 


それでも、私はうれしくならなかった

 

正直に言って、その変化を見て、私は全然うれしくはならなかった。

 

むしろ酔いが醒めるような瞬間でもあった。

 

そして、

「ああ、そういう店か」

と、静かに納得した。

 

帰り際、キャッシャー横で満面の笑みを浮かべながら、彼は言った。

「ありがとうございました。またどうぞよろしくお願いいたします」

 

私は心の中で、こう思った。

――ありがとう。

――これで、この店を選択肢から外せる。

 


カードの力を、見誤ってはいけない

 

2017年当時は、「スルガVISA Infiniteの威力なのか」

そんな書き方をしていた。

 

だが今なら、はっきり言える。

 

カードに力があるのではない。

人が、勝手に意味づけしているだけだ。

 

そして、その意味づけが態度に出た瞬間、店の“格”は決まる。

 

 


一流のホテルに、一流のBarがあるのではない

 

以前読んだ本の中で、ホテルオークラ東京の元総支配人・石原直氏の言葉が印象に残っている。

 

一流のホテルには一流のバーがあるのではない。

一流のバーがあるのが、一流のホテルなのだ。

 

この言葉の意味が、あの日、よく分かった。

 

一流かどうかは、カードを見た後の態度で決まるのではない。

カードを見る前の態度で、すでに決まっている。

 

 


後記

 

今の私は、カードで試すようなことは、稚拙なことはもうしない。

 

だが、あの体験が教えてくれたことは、今も残っている。

 

  • 店は、選ぶ側でもあるが

  • 客も、同時に選んでいる

 

カードは、支払いのための道具にすぎない。

人の態度を変える装置になった瞬間、それはもう、上質とは言えないにかもしれない。

 

 

あの日のBarには、二度と行っていない。

それで、十分だ。

 

 

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